こんにちは、画家のサンです。
これからアクリル絵の具で絵を描きたい方に向けて、
基本的な絵の知識をシェアしたいと思います。
今回は、「アクリル絵の具の特徴と扱い方」です。
アクリル絵の具は扱いやすい絵の具です。
ですが注意点もあります。
特に乾くと耐水性になることや
一度服に付くと2度と取れないことなど、長所が短所になる特徴もあります。
アクリル絵の具の特徴
水で薄めて描くことができる。初心者でも知識なく扱える。
油絵具ですと薄めるためのオイルが別で必要だったり、科学的知識、高額の絵の具、匂いもあります。
日本画も同様にまず扱うための知識が必要であったり、道具を揃えるのにコストもかかります。
それに比べてアクリル絵の具は水性なので水で薄めて扱えますし、特別な知識を必要としません。
「描きたい。」と思った時のハードルが低く、手軽に始められて、表現の幅も広いです。
初心者からプロまで幅広く使われています。経年劣化にも強いです。
(ただし、ミクストメディアなど異素材と組み合わせて使用したり、混ぜ物をすると、劣化が早まります。)
乾くと耐水性になる。
透明水彩絵の絵の具との大きな違いです。
子供の頃に使ったような透明水彩絵の具は、乾いても水で再び溶かすことができます。
(なので、固形の絵の具があるんですね。また水彩画の教本では、折りたたみのパレットに絵の具を出して並べて乾かし、とかしながら使う方法もよく載っていますね。)
アクリル絵の具は、このような透明水彩絵の具のように扱うことはできません。
乾くと耐水性になり、再び水で溶かすことはできないからです!
それが長所でもあり短所でもあります。
耐水性なので、布に描けます。
服のリメイクやオリジナル手描きTシャツも作れますね。
でもお気に入りの服に付いたら、、2度と取れません。。
制作するときは、汚れても良い服を着るのが安心です!
例え飛び散らすような描き方をしていなくても、案外飛び散ったり、絵の具が手についたままあちこち触ってたりします。
水彩のような表現から、油絵具のような表現まで幅広く描ける。
アクリル絵の具は、
水でシャバシャバに薄めるなどして透明水彩絵の具のような表現をしたり、
水を少なくして油絵の具の様な表現で描いたり、
乾きを遅くするメディウムや、かさ増しにモデリングペーストを混ぜて厚みをつけたり、
砂を混ぜたり、何か貼り付けたり、絞り出して半立体にしたり、
表現の幅が広いです。
あなたの想像している「これ描きたい。こんなの作りたい。」という思いに応えてくれる画材です。
メディウムを加えると多彩な質感の表現ができる。
アクリル絵の具には、さまざまな質感を作ることができるのですが、その質感作りにメディウムが使えます。
例えば、
マットな質感、光沢のあるツヤツヤな質感、マーブル模様、
クリームのような質感、砂の様なざらざらした質感、
いったん盛り上げて、あとで削ったり。
陶器、金属、ガラスなどツルツルしたものに描くためのプライマー、
透明なものに描くためのクリアジェッソなどもあります。
また、アクリル絵の具に、メディウム以外のものも混ぜたりする方もいます。
砂、ガラス、プラスチックなど。
(その様な異素材を組み合わせた作品は「ミクストメディア」という技法名で言われますが、
混ぜれば混ぜるほど、作品としては劣化しやすくなるので注意も必要です。)
いろんなものに描ける。(例外あり)
紙、キャンバス、布、木、プラスチックなどいろんなものに描くことができます。
ただし、ツルツルした素材には描けません。
アクリル絵の具は、ざらざらした面に接着するかたちで色がのるので、ツルツルしてると接着しないんです。
陶器や磁器のお皿などですね。そのままでは描けないので、専用のプライマーを塗ってから描いたりします。
乾きが速い。片付けが簡単で匂いも少ない。
油絵具との違いですね。匂いが苦手だけれど、油絵の具のような質感で描きたい方に向きます。
通常10〜20分ほどで乾きます。
絵を平らに置いて水溜りをつく流ほどシャバシャバな状態や、
メディウムを混ぜて厚塗りをすると、
乾くまでに数日かかります。
普通に絵の具を溶かして描く時は、夏場はより早く、冬場はそれより遅めになります。
乾くと少し色が落ち着く。(暗くなる)
アクリル絵の具の欠点でもあります。混色の難しさ。です。
パレットにチューブを出して混色し、いいなと思っても、
いざ塗ってみて乾くと、「あれ、なんだか暗い。ちょっと暗い。」
思っていたより濃いめの色に見えるんです。
パレットに出したままの色がのるわけではないので
微妙な色の違いを表現するのには少し経験が必要になります。
思っている色より、実際は暗めになる。落ち着く感じになりますので、
色を作ったら、別の紙に試し塗りをしたり、少し明るめに作る様にするなどの工夫をします。
最初は気になりますが、描くうちに慣れてきます!
アクリル絵の具を扱う時の注意点
絵の具がついても良い服、またはエプロンを着ること
アクリル絵の具は、一度服に付くと2度と取れません!
服だけでなく、周りの物などにも付くと取れないです。
ですので、絵の具があなたの服や身の回りの壁、床、家具、小物につかないように配慮する必要があります。
例えば、エプロンや汚れても良い作業着を着る。
壁や床をビニールや布で覆って、絵の具が付かない様にする。
という制作環境を整えると、安心してアクリル絵の具で絵が描けます。
私も、エプロンを着て、床にシートを敷いて汚れても大丈夫なようにしています。
ですがたまにシートの外に絵の具を落としてしまい、、焦ってすぐ拭き取る。ということがあります。
色がつくと2度と取れないのでヒヤヒヤします。。
絵の具のついた筆は、水につけておくか洗っておく。
これは、アクリル絵の具がとても乾きやすく、乾くと固まってしまうからです。
制作中の筆は水につけておきます。
または、よく洗って絵の具を落として置いておきます。
筆に絵の具がつきっぱなしで放置しないように注意です。
固まってしまい筆が使い物にならなくなります。
ツルツルしたものには描けない。
アクリル絵の具は、比較的なんでも描けるのですが、
表面がツルツルしているものは、固まっても水に触れると剥がれてしまうことがあります。
例えば、ツルツルした陶器や磁器などです。
一旦描けても、水につけるとぺろっと剥がれます。
お皿やガラスに絵を描くときは、専用のプライマーを塗布してから描きます。
パレットは紙パレットかたまごパックがおすすめ
アクリル絵の具は、普通のプラスチックパレットでは使えません。
乾くと色が取れなくなるからです!(透明水彩との違いですね。)
また、陶器や磁器などのお皿もおすすめしません。
(透明水彩絵の具は水に溶けるので使えるのですが。)
なぜなら、お皿についたアクリル絵の具は水につけておくとぺろっと剥がれるのですが、
その清掃作業がとても手間だからです。
私も使い捨ての紙パレットを惜しんで、お皿を使って描いていたのですが、、
使い終わったお皿の掃除を毎回していました。
掃除のためのボロ布を準備したり、ぺろっと剥がれた絵の具を拭き取るのは時間がかかりますし、
剥がれた絵の具をもし排水口に流すと詰まりの原因になりますし、手もよく汚れる。
掃除する時間が長いので、時間がもったいないです。
コストはかかりますが、使い捨ての紙パレットがおすすめです。ほんとに。
それか、卵をよく食べる方なら、卵パックもおすすめです。
紙皿でも代用できますが、それはライブペイントの時など一時的に利用するのにはむきます。
自宅やアトリエで、継続して制作するなら紙パレットがおすすめです。
紙皿は、表面がざらざらしていますよね。ここに絵の具を出して混ぜる時、引っ掛かりを感じるのと、
絵の具が紙皿に接着して、よりたくさんの絵の具を必要とします。
紙パレットなら、表面がツルツルしているので、絵の具を出して混ぜやすいです。ひっかかりもありません。
なるべく描きやすい環境を作ることが、ストレスを減らして継続して絵を描くことができますので、
できるところから取り入れてみてください。
まずは卵パックをパレットにして使ってみる。継続してもっと描きたくなったら、小さいサイズの紙パレットを購入する。
と段階的に道具レベルを上げてみてください。
さて、アクリル絵の具について知ることができたでしょうか?
特徴と扱い方を押さえたら、より楽しく、ストレスフリーに制作ができるので、
ぜひ活用してくださいね。
ではまた