子供の頃から図工の時間が好きで、
絵を描くのも作るのも好きだった私は、
美術大学で建築を専攻しました。
憧れのキャンパスライフ、青春を謳歌!
なんてドラマのようだったらよかったのですが、、
とても真面目な私は、いつも課題に追われていました。
私が通っていた美大の建築コースは、
自由な校風で、美大らしくアート寄りでした。
工学的な設計の学びよりも、
課題制作がメインで、
出された課題に対してアイデアや、表現を学ぶことに比重がありました。
まるでアート作品を作っているかのような雰囲気でした。
例えば、「4人暮らしの家を設計しなさい」「学校を設計しなさい」
ではなく、
「聖なる空間とは?アイデアを出して設計しなさい。場所や建物の用途は自由」
「芸術家または歴史上の人物を一人選び、その人のための空間を設計しなさい。」
というもので、
用途に応じた設計を学んで形にするというよりも、
創造性、発想の面白さを問われるような内容でした。
これがとっても悩みました。。。なかなかアイデアが湧かないのです。
一体何を作ったら良いのやら。。
自分の才能に向き合い、アイデアを出す。0から1を作る。という創造性に向き合う日々が始まりました。
遊ぶことやサークル活動なんて、考える余裕もないくらい、
課題のことで頭がいっぱいでした。ものすごく真面目だったんですね。
先生や周りの人たちからの評価が欲しくて、頑張っていました。
どうやったら面白いアイデアを思いつけるのかな?と思って
デザイナーさんの本を読んだり、
アートを見たり、建築を見たり、映画やアニメ、クリエイティブなものに触れたり、
偉人の本を読んだり。
いろんなものを見ては、
「私って才能ないのかな、、。」と悶々としたり、
「あ!良いアイデアを思いついた!」と小躍りしたり、
天国と地獄を行ったり来たりしているようでした。
先生が課題の進み具合をチェックする日、
一所懸命考えたアイデアを見てもらうと、
褒められたり、ダメ出しされたりと色々な意見を言われます。
「面白い」「面白くない」と率直に言われます。
私は先生の意見にとても左右されていました。
自分が今考えているアイデアを先生に見せてみると、
「うーん、、、いやあ、、微妙。」とダメ出しを食らう。
その瞬間に、「あー、私ってダメなんだ。。」と
なぜか人間性まで否定されたような気持ちになるのです。
今思えば、、
それは課題の話であって、私個人の人間性とは切り分けるべきなのですが、
当時の私は、
課題の出来と評価=私の人間としての出来、才能の有無、評価
と、課題と自分を一括りにして考えていたんです。
課題が面白くないのは、私が面白くないから。才能がないから。
課題がダメなら私もダメ。
課題が良いなら私も良い
といった具合です。
また、クラスメイトの課題作品を見て、
「自分は全然だめだなぁ、」とか
「みんなうまいなぁ。」
「みんな面白いアイデアを出すなぁ」
それに比べて私は、、、と周りと比べては落ち込んでいました。
先生が面白いと言うまでアイデアを練り直し、
課題の提出が間近で、制作が佳境に入ると、、
学校に泊まり込んで図面を引き、模型を作り、プレゼン資料を作る。
何日学校にいるんだろう、、と言うくらい。もはや住人状態です。
寒い寒い冬、課題提出まであと3日。
泊まり込みで肌も体もボロボロ。お風呂も入ってない。
夜はみんなで出前を頼んで中華を食べて、また朝まで作業する。
楽しそう?いや必死です。
今思えば、、、、本当に馬鹿みたいに真面目でした!
(徹夜なんて非効率ですし。お風呂とか入ったほうがスッキリして作業もできるのに、
お風呂も入らないなんて。。。未熟で、、ばかで、若かったです。)
そこまでして臨む課題提出日、
先生からの評価がイマイチだと、
本当に心が病んでしまうくらい落ち込んでいました、、、。
「こんなに頑張って課題を作っても、うまくいかないなぁ。
褒めてもらえることもあるけれど、面白くないと言われることもある。
ものを生み出すことは、とても大変だなぁ。
センスないのかな。才能も。」
私はこんな感じで、いつも追い詰められるように課題制作をしていました。
クリエイティブ、なんて耳障りの良い言葉ですが、
実際、何かアイデアを形にしようとすると、ものすごく大変なのだと学びました。
アイデアがつまんない。と言われるだけで、才能ないんだと落ち込んでしまいますから。
人間性までつまんないと言われたかのような気になりますから。
そして、アイデアが面白い!と言われただけで、有頂天になりました。
完成した課題を褒められたら、とても嬉しかったです。
この学生時代の経験は、今の私の作品制作にも通じる部分があります。
「私が良いと思うもの、あなたも良いと言ってくれたら嬉しい。」
と、作品を介した人との繋がりが、私の喜びの1つになっていることです。
今の私は、自分が天才ではないことを十分に知っているので、
「自分らしく努力しよう。次の作品が前のものよりもっと良くなるように頑張ろう。」
と思うくらいです。
上を見るとキリがないですから。
センスや才能を人と比べてもキリがないですね。大体、自分より他の人の方が優れているものですし。
「昨日の自分より、明日の自分がよくなって行くことの方が大事」
「自分の絵で生きて行きたい」と感じています。
「死ぬまでずっと成長し続けられたら。
描くたびに良くなっていけたら。
絵を気に入ってくれる方にたくさん出会いたい!」
と思って描き続けています。
続き
↓
エピソードの初めから読む
↓