劣等感の塊だった私が、絵と自分に自信を持つために、、

劣等感の塊だった私が、絵と自分に自信を持つために

「絵を描きたいけれど、、自信ない」
「ちょっとは上手いはずだけれど、、人と比べたら全然ダメだ、きっと。」
「でも絵を描いて生きたい」
「もっと絵に自信を持てたら。」
「自分の能力を活かして生きていきたい。」

作家として絵を描く前の私は、いつもこう思っている劣等感の塊でした。

絵を描きたいけれど、自信がありませんでした。

そんな自分がとっても情けなくて、ネガティブな気持ちで生きていました。

目次

こんな私でも、自分の持つ能力を活かしたい

鉛筆デッサン バスケットボール ぬいぐるみ
バスケットボールと黒い犬のぬいぐるみ

もともと私は、美大で建築を学んでいました。

キラキラした大学生活、、という感じではなく、

いつも課題のことで頭がいっぱいで、課題に追われていました。

何日も徹夜をして、課題の作品制作をしたり、

遊びやバイトよりも課題のことばかり考えていました。

真面目に一所懸命、頑張っているつもりでしたが、、、先生からの評価はそれほど。。

そんな、いつも上手くいかない自分が情けなくて、自己嫌悪ばかりでした。

課題を頑張るほど、精神を追い込まれていくような感じも多々ありました。

そして大学4年の卒業制作ではさらに大変で、、、

心身ともにすっかり燃え尽きてしまいました。

体も心もうまく動かず、

同級生たちのように上手に社会に出られなかったので、色々なアルバイトで凌いでいました。

色々な仕事を経験しながら、やっぱり何か作ることや表現することがやりたいとずっと思っていました。

「こんな私でも、自分の持つ能力を活かしたい。」

自分が持っている能力の中で、一番秀でているものはなんだろう。と思った時に、

真っ先に思いついたのが、絵を描くことでした。

(他に何も思いつかなかったところが、私らしいです。)

大学時代での課題の評価はそれほどでしたが、いつもビジュアルイメージだけは、褒められたこと。

子供の頃から絵が好きで、得意だったこと。

クラスに一人はいる絵の上手い子だったこと。

図工の授業で描いた絵が、コンクールで賞をとったこと。

とても小さな子供だった頃、畳の部屋に寝そべって絵を描いていたとき、

ふと「私は大人になったら、きっとなんでも描けるようになれるわ〜」と夢想していたこと。

(実際は、なんでも描ける、というのは物凄い実力なので、今でも夢です。)

などを思い出しました。

絵が上手くなりたい。実力がほしい。

鉛筆デッサン ランプ 巻貝
ランプと巻貝

でも世の中には絵の上手い人はたくさんいます。

その上手い人たちと自分とを比べたら私なんて下手くそです。

だから少しでも「絵に自信を持ちたい。上手くなりたい。そのために絵を習いたい。」

そう思いましたが、「今の私には絵の学校に通う資金なんてないなぁ。」と感じました。

その時の仕事ではとても難しいことでした。

その後、安定した会社でアルバイトをしはじめた時、少しお金に余裕が生まれました。

その時に「絵を学びたい。デッサン教室に行こう。絵描きとしての一歩を踏み出したい。」と思いました。

なんとか教室の受講料も出せそうでした。

私はすぐに地元の絵画教室に申し込みました。

「デッサンを学んで、絵が上手くなりたい。実力がほしい。」

「こんな自分でも、何かひとつ自信を持って、生きたい。」

何かパッと目の前が開けたような気がしました。

受講初日、デッサン教室で始めに先生に言われたのが、

「うちのデッサンのカリキュラムはボリュームがあるので、最後までクリアした人はいない
「ある程度描いたら、みんな途中でやめてしまう。もう少し頑張れば上手くなれるのだけど、というところで。」
「デッサンは修行のようなものだから。質より量が大事。
「絵が上手くなりたいならデッサンは有効です」

というものでした。

私は、「ここで学べるものは全部学ぼう。分厚いカリキュラムを全部クリアしたら、きっと自信が持てるはず。

そう思って、デッサンに取り組み始めました。

自惚れ。私が思うよりもずっと私は下手だった

鉛筆デッサン 立方体 下手
下手な立方体のデッサン

デッサンをするのは高校生の頃以来です。

最初の課題は、石膏でできた立方体。

立方体はデッサンの基本のモチーフです。

私も何度か描いたことがあったので、少し自信がありました。

「立方体は描いたことある。サッサと描いてもっと先に進みたい。」とさえ思っていました。

ですが、いざ形をとってみると、、

「あれ、とても難しい〜。なんか違う。描いた絵とモチーフと何かが違う。。わからない。」

全く描けませんでした。。

「まあでも、形はこんなものでいいかな。」と次の作業へ進もうとすると、、、

先生がやって来て、

「う〜ん。。そうですね。ちょっと、こことここの長さを測って、モチーフと見比べてみてください。」
「それから、焦らずもっとよく観察しましょう。」と先生から指摘が飛ぶ。

「うう、、次に進みたい〜。。でもまだ形が違っている。なんで。。測ってみると、、全然違う。ああ、描き直しだなぁ。全然絵が進まないよ。。」

と描けない自分に落ち込みました。

私が思うよりも、ずっと私は下手だったのです。

どこかで、きっと上手に描けるだろう。と自分の力を過信していたのでした。

現実の実力を知って、その落差にショックを受けて、、少しイライラして、

恥ずかしい気持ちでいっぱいになりました。

そして歪んだプライドを持っていることにも気付きました。

自分はできる。描ける。上手い。と実力以上に過信していて、自分は正しいんだと思い込むプライド。

私は絵が下手なんだから自信持ちたい。と言いながら、心のどこかで私は上手い。と思いたいプライド。

自惚れていて、全然わかってないことに気がついて、ショックでした。

立方体ひとつ描くのもできないことを知った私は、

「デッサンは初めてではないけれど、これは基礎もわかっていないのだから、この教室で1から教わろう。

と思いました。

鉛筆デッサン ワインボトル
ワインボトル

それから、辛抱強く、ひとつひとつのモチーフに向き合って、集中して描いていきました。

描いていると、歪んだプライドが邪魔をしてきます。

自分は絵が上手いと思い込んでいる、、できる。正しいんだと勘違いしているプライド。根深いです。

でも先生の指摘が入るたびに歪んだプライドを捨てて、先生の言葉を信じて、素直に学ぶようになっていきました。

また描けない自分に焦りと苛立ち、落ち込みをよく感じました。

どうして描けないのだろう。こんなにできないなんて、ほんとだめだなぁ。」

「人より、とてもとても劣っている」

「私、ほんとバカだなぁ」

「みんなが普通にできること、どうして私はいつもできないのだろう。」

などなど、、、絵と関係なく、生き方においても、自分を責めることもしばしば。。。でした。

でもそんな時はいつも、

「ダメダメそんなことより、目の前のモチーフに集中!今は、描くことだよ。もっとよく見て描こう。上手くなりたい!」

そう自分を励まして描き続け、少しずつ上達するようになりました。

「上手に描けている」と先生に褒められるようにもなりました。

諦めずにデッサンを続けました

鉛筆デッサン 紙袋 スリッパ
2点モチーフのデッサン

そんな中、デッサンを始めてから気づいた弱みがありました。

それは、手が遅いこと。

先生に言われるくらいとても描くのが遅くて、、進まない絵に、自分でもイライラすることが多かったです。

「もっと先へ進みたい。早く上手くなりたい。」という焦りがありました。。

手が遅いのは、悩んで手が止まり、何度も描き直しているからです。

目も手も鍛えられていないからでした。

ものを見ているようで、見えていない。描けると思っても描けない。

描けないから何度も消してやり直す。特に形を取るのがとても時間がかかりました。

隣の高校生の方が、何倍も上手くて何倍も速い。

手が遅くて絵が進まず、高校生より描けない自分があまりに情けなくて、帰り道は、しくしく泣きながら電車に乗っていたこともありました。

ちなみに、

究極的に早く描くには、練りゴム(消しゴムのこと)を一切使わず、一発で正しい形をとり、

消すことなく明暗をとり、素材感を描き分ける。かつ、その作業の全ての手の動きに迷いがなく速く動く。

そうすれば、速く描き終えられて、次のモチーフに進むことができます。

(でもそれは理想の話です。実際は、何度も間違っては消して、描いて、悩んで、進んでいきます。)

それでも私は諦めずにデッサンを続けました。

辛抱強くコツコツと描き続けて、少しずつ上達を感じるようになっていきます。

鉛筆デッサン 毛糸 ステンレスボウル 木の枝
3点モチーフ

立方体から始まって、円柱、球、紙、石、木の枝、ぬいぐるみ、ワインボトル、貝、布、金属、、

モチーフの数も1点から2点、3点と増えていきました。

新しいモチーフを出されるたびに、難易度が上がっていきます。

「描くのはとても難しそう、、私に描けるのかな、、でも描いてみたい。描こう。」

そうやって取り組んでいくうちに、絵が上手くなっただけでなく、

絵を描く手順もわかるようになりました。それを自分の作品のアクリル画にも応用していきました。

根深く持っていた歪んだプライドもずいぶん減って、素直に学び、集中力も上がっていきました。

周りの方の上達に嫉妬することもなくなり、目の前の絵に集中するようになっていきました。

速く上手くなりたいという焦り、もっと先に進みたいという焦り、苛立ちも前より減り、

「とにかくこのモチーフを描けるようになりたい。」と思って取り組んでいきました。

教室に行くのが習慣になり、デッサンも楽しくなっていきました。

あなたと、もう一人の方とが初めてです

デッサン 石膏像 木炭
石膏デッサン

そしてデッサンのカリキュラムは、鉛筆での静物モチーフから、木炭で石膏像を描くところまで来ました。

一体今どのくらいカリキュラムが進んでいて、どのくらい残っているのか、、わかりません。

(カリキュラムの内容は先生のみが知っていて、、受講する生徒にも内容は秘密でした。)

私は人物画は得意ではなかったので、、石膏像はさらに描くのに苦労したのですが、

なんとか木炭で石膏像を描き終えました。

その時に先生がやってきて、、

「お疲れ様でした。うちの教室のデッサンのカリキュラムはこれで終わりです。」

「良くがんばりましたね!」

と言われました。

私は、ついに「ボリュームがあって誰もクリアした人はいない」

と言われたデッサンのカリキュラムを全部クリアしたのでした!

気がつけば5年経っていました。

(デッサン教室は、2年ほど通うつもりだったのですが、、倍以上かかりました)

「デッサンコースのカリキュラムをクリアしたのは、この教室の開講以来、あなたともう一人の方とが初めてです。」

と先生に言われました。

もう一人いたらしいです。その方も何年もかかったみたいでした。

そしてカリキュラムをクリアした記念の賞状をいただいた時に、、、

コツコツと継続したこと、時間がかかってしまったけれど頑張った自分を自分で褒めることができました。

「私、頑張ったなぁ。よくやりました。えらいよ。」

「私はデッサンもしっかり学んだんだ」と画力だけでなく、

絵を描く自分への自信を持つことができるようになったのです。

そしてこのデッサンコースをクリアしたことで、この教室を卒業させてもらいました。

教えてくださった先生には、本当に感謝しかありません。

記念の賞状

デッサンは終わりのない修行のようなものでした。

自信を持てるようにまで、恐ろしく時間がかかってしまったけれど、

何かをやり抜くには、私は時間がかかるんだ。ということも学びました。

絵を描くのは一人ですること。自分と向きあい、モチーフと向き合い、辛抱強く描き続ける。

そんな地道な努力は、きっと実を結ぶと実感しています。

続き↓

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この記事を書いた人

サンのアバター サン 画家

画家。(アクリル画。モチーフは主に植物と風景)ギャラリー様や百貨店様での展示販売、ネット通販、レンタルなど。
台湾でアーティストインレジデンスに参加。
高槻阪急(百貨店様)にて個展。
UNKNOWN ASIA2022でレビュワー賞受賞。

みつまたアートでは、これまで得た経験と技術で、絵が描きたい方、上手くなりたい方に向けてアクリル絵の具による花や風景の描き方を教えている。

絵と花と風景と、豆と野菜が好き。脂質とホラーと寒いのが苦手。

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